飲食店をやってます。

美味いモノ作って売ってりゃ客は来るし儲かる。そんな時代はとっくにおわりました。お店を運営していく中で思っている事を書いています。たまに全然関係ない事も書きます。笑

お店の評価はいかようにでも転がってゆく



先日、知り合いの方がFacebookである飲食店を酷評していました。

 
店名は明かしていませんが、ウェブページの管理状況に始まりお料理の質、サーブの方法、料金体系、書き込みはその1回の食事の中で感じた様々な事が書かれていました。
 
あんな店二度と行かない、との事でしたが、、、。
文章を読んだ印象としては、そこまで酷いかな?というのが第一印象。
 
もちろん僕はその店がどこの何という店かも知りませんし、その場にいたわけでもないので本当にダメな店だったのかもしれません。
ポストを読む限り、色々と改善すべき点が多そうなお店だと感じた事も事実です。
 
しかし、クレームだと前置きした上での書き込みとだったことを踏まえると、ご本人が感じたダメな部分はポスト中にほとんど出ていると思われます。
 
確かに褒められたものではない、いただけないな、と言う部分もありましたが総じて僕が感じたのはそこまで酷評する内容だろうか、と言う事。
僕の感覚から言えば、そんなあり得ない話じゃないのでは、と言う印象。
 
コスパ悪いと書いていましたがそれに関しても、まぁ安くはないけど内容を考えればあり得ない金額ではいのでは、と言う感覚。
 
ランチと言えども前菜のブッフェ、メイン、選べるデザート、ドリンクブッフェがつけば大手チェーンじゃない限りそれくらいの金額になっても不思議じゃないのでは、と言う範疇。
 
 
 
僕は飲食店側の立場から「まぁまぁそんなに怒りなさんな」と言いたいのではありません。
その方が不愉快な思いをしたという事実はあるんですよね。
 
でも文章を見る限り、二度と行かない、と言わせるほどの粗相は見当たらない。
何が悪かったのか。
実はご本人も気づいていないレベルで小さな不満が蓄積された結果なんじゃないかと推察します。
 
小さな「えっ、、、」が積み重なった結果なんじゃないかと思うのです。
始まりは営業時間をチェックするために訪れたウェブサイトです。
そこで管理が行き届いていいことに「えっ、、、」。
 
次はなんでしょうか。店員の表情かもしれません。言葉遣いかも知れません。
お皿の置き方かも、、、
 
 
友人とのやりとりで全く同じ事を言ったとしても、仲のよい親友が言うのと嫌いなヤツが言うのでは感じ方が全く違ったりする事、ありませんか?
 
それに近いことが起きたんじゃないでしょうか。
初めに「え、、、」と思ったせいでその方のその飲食店に対する評価は少しだけ「嫌いな人」に近い状況になります。
 
自分のお気に入りのお店で同じ事が起こっても気にも止めないような事が引っかかるような状態です。
そのためすぐに違う不満点を見つけてしまいます。
そのせいでさらにネガティブな見方をするように。
その繰り返しで些細なこともやっぱりこの店は、、、となる。
 
雪だるま式に膨らんだネガティブな気持ちが最後に二度と行かない、と言わしめたのではないでしょうか。
 
この負のサイクルはちょっとした事ではじまります。
しかし逆もまたしかり。
 
お気に入りのお店では少々の事は気にもならない。
ヘタをすればこうだから好きなんだよ、と。
「アバタもエクボ」状態になったりもするのです。
 
人の感情というのはホントに些細な事で右にも左にも転がっていくもんなんですよね。
 
なんだか非常にイヤなニュアンスになってしまいますが、お店のファンになってくださっている方々はそう言う意味でもやっぱり大切な存在だと思っています。
“味方”みたいなカンジでしょうか。
 
そうなって下さるまでの経緯がもちろん前提であって、店側の努力が受け入れられたからこそ、その方々はファンになってくださっているわけです。
 
そう言う方々の存在は本当にありがたいし、もっともっと自分のお店にも増えて欲しい。
そう思っていますが、その一方。
「全ての方がお気に入りになるお店」と言うのは実質的に存在しません。
それぞれのお店が「こんな人がファンになって欲しい」と思った方々に向けて様々な努力をし、メッセージを送り続けているのです。
いわゆる「ターゲット層」というヤツですね。
裏を返せば「こう言う人達には自分のお店は受け入れられないだろう」と言う割り切りも必要なのです。
 
例えばウチのお店は鳥肉のお店です。
鳥肉が嫌いな人にファンになって頂く事は非常に難しいでしょう。
 
ここまで明らかなら良いのですが。
実際はもっとわかりづらく、微妙なものです。
 
自分たちが「ファンになって頂きたい!」と願う層の方々が少しでも多くファンになってくださるよう緊張感を持って挑み、もっともっと“味方”を増やしたいな、と思います。
そう言うファンの方々がいる事で店内により良い空気を作り、その良い空気でさらにファンが増える。
そんなサイクルがいいですね。
 
今回の知人のあるお店への酷評をみて改めて気が引き締まりました。