飲食店をやってます。

美味いモノ作って売ってりゃ客は来るし儲かる。そんな時代はとっくにおわりました。お店を運営していく中で思っている事を書いています。たまに全然関係ない事も書きます。笑

小規模飲食店のちょっとしたIT化 〜IT化を進めることになったきっかけ〜



ウチのお店は先日50周年を迎えた古いお店です。

それ故、古い飲食店が古くからやっているやり方がそのまま、と言う部分が少なからずあります。

 

そんな中、少しでも色んな事が効率的に出来る様になれば良いな、と言う思いから少しずつIT化を進めてきました。

 

最近ではどんな風にやっているのか、と言う事を聞かれることが増えておりまして、飲食店に限らず似たような問題を抱えていて、それに対する答えを求めているんだな、と感じていました。

 

これまでも実際にお会いした方に聞かれると聞かれた事に対してはお答えしていたのですが、全体像をちゃんと説明したことはないので、何らかの形でご紹介出来ればと思っていました。

 

と言う事で当店がどんな形でIT化を進めているのかをこれから少しずつでもご紹介出来ればと思っています。 

 

なぜIT化しようと思ったか。

もう15年以上前になるでしょうか。

僕がこの店に社員として入った時。会社内にPCは1台もなく、電話とFAXが全てでした。

レシピは担当者がFAXしてきたものをクリアファイルに。FAXは感熱紙のモノなのでペラペラで油が付くと消えてしまいます。

当然解像度も酷く、手書きのレシピを読むのは大変でした。

売上はバインダーにとじてある用紙に手書き。

店長になったときに前任者から引き継いだバインダーには小さい数字で売上や客数がびっしり記入されていました。

売上は累計を取っていたので月間売上を把握することは出来ましたが、客数や組数は面倒になったのか合計数が計算されておらず、当然客単価を把握することも出来ませんでした。

月間売上は分かっていましたが、前年に対して良かったのか、悪かったのかを把握するのも一苦労で、当時店長になったばかりの僕は日々の営業に疲れ果ててそれらの数字を追いかけることは出来ていませんでした。

 

この時に強く感じたのは、40年も商売やってるのに(10年くらい前の話なので)これまでの経験(データ)が全然活かされていない。なんて勿体ないんだ!と言う事でした。

これじゃあ最近オープンした店と大して変わらないじゃないか。

もちろん個々の経験と言う財産はありますが、穴の開いたバケツのように他の財産は手元からこぼれ落ちているんじゃないか、と。

 

ちなみに当時の僕はそれまで勤めていた会社でいじっていた イントラネットが組まれたPCをちょっと触っていた程度で、エクセルはなんとか。ワードはギリギリ。

ちょっとしたPOPなんかを作るのにパワーポイントは使えたかな、程度。

 

それ以外はほぼ何も知りませんでした。わからないなりに色々と試行錯誤を繰り返す中、Dropboxが登場します。

もう何というか濡れ手に粟。何コレすげーぞ!って。

ただ当時はクラウドなんて言う言葉もなく(僕が知らなかっただけでしょうか)、セキュリティ面の不安を指摘する人が多く、あまり使われていなかったように思います。

店のデータの管理に使い始めた、と言う話をするとバカにされていました。

 

初めは自宅にあるPCと、店に置いていたノートPCとの同期から始めました。

もー便利で便利で!

 

しばらくして3店舗でのdropboxを使ったデータ共有が出来れば良いと考え始めます。

データ共有が出来れば、レシピ等のFAXでのやり取りが必要なくなる。売上ファイルも即時更新されて行くので他店の売上も把握できる。

ファイルの修正等も僕が店舗に赴く必要がなく、元のファイルを直接修正出来る、等々様々なメリットをプレゼンして、まずは1店舗にPCと複合機を。

その1年後くらいには最後の1店舗にもPCと複合機を導入。

これでめでたく3店舗でのPC&プリンタ&ネットという環境が整います。

 

レシピはエクセルで作ったフォーマットに記入するようにしていきました。

と言うか、担当者にそうして貰うよう頼みました。

これをdropboxに入れておく事で各店は複合機を使い、普通紙でレシピをプリントアウト出来ます。

当然FAXやコピーではないのでキレイな画質だし、痛んだらまたプリントアウトすれば良い。写真を入れることも出来る。

 

当面はdropboxで売上ファイルとレシピの管理、あとはぐるなびページの更新作業にPCを使う、と言う形でやっていました。

 

この辺から少しずつIT化が始まっていきます。

ちなみにホントに少しずつで、何か新しい事をする度に1〜2年は次のことをしない、と言う感じで進めてやっています。

よく「おたくはどんどんそう言うのを受け入れる土壌があるから良いよねぇ」

みたいな事を言われますがとんでもない!

すこーしずつ。すこーしずつ。

慎重に。慎重に。

ここまで来ています。

言いだしっぺで有る僕は常にウチで使えるサービスやツールはないかを探しています。

良さそうなモノを見つけるとまずは自分が使い、実際に何が出来そうかを検証します。

その後、似た事が出来るサービスを探して、1番シンプルで使いやすいモノを探し、頃合いを見計らって店に導入します。

初めは僕しか使ってません。孤独な戦いです笑

そこから少しずつ。皆が使い始め、最終的にはなくてはならないものになる。

 

そんな足かけ10年間のお話です。